人々がスマートフォンを持つのが主流になった今、様々なアプリが登場しています。
WebView(ウェブビュー)は、そんなスマホアプリの機能のひとつです。
うまく活用できれば、WebViewはアプリ開発に役立てることができます。
そこで今回は、WebViewがどのような機能を持っているのか、またアプリ開発で活用するメリット・デメリットなどについて解説します。
WebViewをアプリ開発で活用する際のポイントもご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
WebView(ウェブビュー)はどんな機能?
WebViewは、アプリ上でWebコンテンツを表示できる機能のことです。
ここでは、WebViewがどのようなものなのか、ブラウザとの違いも含めてご紹介します。
WebViewとは
アプリの中には、外部リンクをクリックすると自動的にWebページへと移動するものも多いです。
WebViewは、リンク先のWebページに移動することなく、アプリ内で表示できるようになる機能です。
一度アプリを閉じてブラウザを開く手間がなくなることから、近年は様々なアプリで活用されています。
ニュースアプリでは、WebViewを活用してアプリ開発を行っているものが多く、リンク先の各ニュース記事をアプリ内で閲覧できるようになっています。
WebViewは、ブラウザコンポーネントをアプリ内に埋め込むことで、リンク先のブラウザに移動せずともWebコンテンツを表示できる仕組みです。
WebViewがアプリで適用されている場合、表示したWebコンテンツの閲覧だけでなくアプリの操作も同時にできます。
アプリの開発者は、表示させるWebコンテンツはもちろん、その表示方法の制御も可能になります。
そのため、アプリ全体のユーザー体験の自由度が上がり、利用者の満足度も向上する可能性が高いです。
ブラウザとの違い
ブラウザは独立したアプリであり、ネットから直接各Webサイトを読み込むことで閲覧できる仕組みとなっています。
そのため、WebViewを活用しなかった場合は他のアプリ上でWebサイトの閲覧ができません。
他のアプリでWebサイトにアクセスする場合は、一度そのアプリを閉じる必要があります。
また、ブラウザの場合は開発者が操作や表示方法の制限ができません。
開発者はWebサイトの設計がメインになるという点も、WebViewとの大きな違いです。
アプリ開発にWebViewを活用するメリット
次に、アプリ開発にWebViewを活用するメリットをご紹介します。
ユーザーの満足度が向上する
WebViewを活用すれば、ユーザーはアプリから離れることなくWebサイトの閲覧が可能となるため、ブラウザに切り替える手間がなくなります。
外部リンクにアクセスする度に、アプリを閉じて再度開き直すといったこともなくなるので、スムーズな操作が可能です。
そのため、結果的にユーザー体験が向上してアプリの利用時間が延長できる可能性が高いです。
ユーザーの満足度がアップすれば、新規ユーザー獲得にもつながります。
アプリ開発を短縮できる
WebViewは、HTMLやCSSを受け取って画面を表示する仕組みとなっており、1つのWebページでiOS、Androidのどちらでも使うことができます。
WebViewを活用しなかった場合、iOSとAndroidそれぞれに合わせて中身を変えなければならないため、同じ素材を横展開させることができません。
それでは、アプリ開発のコンテンツを作る工数が多くなってしまいます。
WebViewでは共通のWebページをリンクさせればiOSやAndroid関係なく使用できるため、開発工数を格段に少なくできるのです。
開発コストを削減できる
ユーザーが使用している端末がiOSであってもAndroidであっても、WebViewなら同じWebページをリンクさせるだけで済み、OSに依存しないアプリ開発が可能です。
OSに合わせてアプリ開発を行えば、それだけ開発工数が増え、開発・運用にかかるコストも増えてしまいます。
しかし、WebViewを活用すればOSごとにアプリ開発をする必要がないため、開発・運用コストを格段に抑えることができるのです。
エンジニアのリソース確保が用意になる
通常、アプリ開発にはHTMLやCSSのほか、JavaScriptやPHPなどのWeb開発言語が活用されます。
しかし、アプリ開発者は人材が少ないため、エンジニアの確保が困難な場合があります。
一方、WebViewを開発するのがWeb開発者であり、アプリ開発者よりもエンジニアの確保がしやすいことが特徴です。
Web開発者がいればWebViewが簡単に導入できるため、リソース不足の払拭はもちろん、採用コストも削減できるでしょう。
WebViewを活用する際のデメリット
続いて、WebViewを活用するデメリットをご紹介します。
どのようなデメリットがあるのか理解をした上でアプリ開発に活かしましょう。
審査に通らない可能性がある
WebViewを導入すると、アプリ内でWebコンテンツが閲覧しやすくなる反面、アプリ内がWebViewばかりになってしまうケースも多いです。
WebViewばかりになるとストア側からアプリである必要性が低いと判断され、リジェクトされやすくなると言われています。
リジェクトとは、アプリストアの審査に通過しない可能性が高くなることです。
リジェクトを防ぐには、アプリだからこそのメリットを出すため、プッシュ通知やアプリ内課金などのような独自の機能を実装することが有効です。
動作速度が遅くなる場合がある
WebViewは、アプリ内で各Webページをリンクさせて表示する仕組みのため、ページにアクセスする度にサーバーと通信する必要があります。
そのため、通信量が多くなったり電波が悪くなったりすると、画面を表示させるまでに時間がかかる可能性があるのです。
WebViewを活用しても、画面の構成要素をアプリそのものが保有しているわけではありません。
そのため、JavaScriptにおける重い操作をはじめ、繊細で複雑なアニメーションなどはアプリ内のパフォーマンスが下がり、ユーザーの体感速度も遅くなる可能性があります。
使用できない・実装できない機能がある
アプリによっては、使用中にユーザーのスマホ自体の機能を使った処理を必要とするものもあります。
例えば、カメラやNFC読み込み、おサイフケータイなどが挙げられます。
いずれもアプリ内で行えれば便利ですが、WebViewの場合は実装が困難です。
他にもWebViewでは実装が難しい機能もあるので、事前に確認が必要です。
WebViewでアプリ開発を行うポイント
注意点を理解した上で、WebViewでアプリ開発を行うにはいくつかのポイントを踏まえて活用する必要があります。
WebViewを活用したアプリ開発を行うポイントとしては、以下が挙げられます。
・パフォーマンスを最適化する
・適切なセキュリティ対策を行う
・UIデザインやナビゲーションを工夫する
・品質向上のための改善を怠らない
・オフライン対応を行う
WebViewを活用したアプリ開発においては、長期的な視点から安定したパフォーマンスができるよう意識しなければなりません。
セキュリティ対策はもちろん、使い勝手の良い機能やオフライン対応などを行い、定期的に改善していくことでユーザーの満足度を向上させられるよう努めましょう。
品質向上のためには定期的にアップデートをしたり、新機能を追加したりするなどの改良が必要です。
まとめ
今回は、WebViewの概要やアプリ開発で活用するメリット・デメリットなどについて解説してきました。
WebViewを活用したアプリ開発ができれば、アプリ内で手軽にWebページを閲覧できるようになり、ユーザーによる利用満足度の向上が期待できます。
実際に活用する際には、安定したパフォーマンスが実現できるよう、品質向上に向けた定期的な改良やセキュリティ対策が必要です。
アプリ開発を検討している方は、WebViewを活用してみてはいかがでしょうか?