シンプルなデザインながらも一目で情報を伝えられるピクトグラムは、日常の様々な場所・場面で活用されています。
この記事では、ピクトグラムの作る方法をはじめ、作成時にこだわるべきポイントや気を付けたいポイントをご紹介します。
ピクトグラムに興味がある、作ってみたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
そもそもピクトグラムとは?
ピクトグラムは絵文字や絵単語とも呼ばれる視覚記号の1つであり、特定の言語を使わなくても絵のみで必要な情報を伝えられるものです。
トイレや駐車場、ベビー休憩室やコインロッカーなど、ピクトグラムを使った案内は日常生活の至るところで採用されています。
ピクトグラムには企業や個人が作成したもののほか、JIS規格で統一された「案内用図記号」というピクトグラムもあります。
東京2020オリンピックでは、開催競技の全てをピクトグラムで表現したことでも話題を集めました。
アイコンとは何が違う?
スマホやパソコン画面に並ぶアプリケーションなどを表すアイコンは、度々ピクトグラムと混同されがちです。
一見似ているように見えるピクトグラムとアイコンですが、この2つには「情報を単純化しているかどうか」という違いがあります。
なお、ピクトグラムとアイコンの特徴は以下のとおりです。
・ピクトグラム…図案がシンプルで、背景と記号色の2色で作られる
・アイコン…カラフルで、ロゴを使うなど特徴的な図案が多い
アイコンでは、他のアイコンと差別化を図るデザインが多く、一目で内容がわかるものばかりではありません。
一方、ピクトグラムは伝わりやすさを重視し、シンプルな図案が採用されています。
ピクトグラムを利用するメリット
ピクトグラムは駅や商業施設などの看板をはじめ、WEBサイトでも利用されています。
例えば、サイトのメールフォームにある「封筒マーク」、サイト内を検索できる検索窓にある「虫眼鏡マーク」もピクトグラムの1つです。
このように、ピクトグラムは日常生活の至るところで採用されていますが、利用するメリットは以下のとおりです。
・一目見ただけで伝えたいことがわかる
・言葉がわからない人にも意味が通じる
瞬時に見ただけで意味が通じる視認性の良さ、そして言葉がわからない人にも通じる情報伝達力の高さは、ピクトグラムならではのメリットと言えるでしょう。
ピクトグラムを作る方法
基本的にピクトグラムは単純な図形の組み合わせのため、専用ツールはもちろん、Excelやillustratorでも作ることが可能です。
以下では、ピクトグラムの作る際に使えるツールをご紹介します。
Excel
Excelに備わっている描画ツールや図形を使って作成できます。
様々な図形を組み合わせて、ピクトグラムを作ってみましょう。
パソコンにインストールされていることも多いExcelは初めてピクトグラムを作る方にもおすすめです。
ただし、あくまでも表計算ソフトであるExcelは本格的なピクトグラムの作成には向いていません。
ファイル出力の形式も限られているため、利用する用途に合わせて使い分けると良いでしょう。
Adobe Illustrator
Illustratorはデザインの自由度も高く、利用しているデザイナーも多いソフトの1つです。
機能性の高さから、商用ロゴやイラストなどのデザイン時にもよく使われています。
Illustratorは曲線を美しく描くこともできるので、本格的なピクトグラム作成に向いています。
操作も難しいため慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、Excelに比べてできることも多いため、デザイン性にこだわりたい方におすすめです。
スマートフォンアプリ
ピクトグラムを作成できるスマートフォンアプリもあります。
アプリなら、置きたいパーツを選び、配置するだけと比較的簡単な作業でピクトグラムを作成できます。
完成したピクトグラムをSNSに投稿しやすい点もアプリならではのメリットです。
ピクトグラムを作る際にこだわるべきポイント
シンプルなデザインでありながら、情報を明確に伝えるピクトグラムを作るにはどうすればいいのか、ポイントをご紹介します。
誰にとっても伝わりやすいデザインにする
ピクトグラムは、字が読めない・言葉が通じない方にも必要な情報を伝えるために活用されています。
したがって、ピクトグラムを作る際は、国籍や言語、年齢や性別関係なく、誰にとっても伝わりやすいデザインにすることが大切です。
例えば、電話1つとってもスマートフォンをかたどった長方形のデザインと黒電話のシルエット、どちらの方がより情報を相手に伝えやすいか考えてみましょう。
今ではほとんど見ることはない黒電話ですが、それでも電話といえば黒電話の形は幅広い年代に浸透しています。
ピクトグラムを作る際は、情報の新旧ではなく、多くの人に通じるデザインかどうかを意識することも重要なポイントです。
明るさやデザインでメリハリをつける
ピクトグラムは、基本的に背景と記号の2色で構成されています。
記号と背景のデザインにメリハリがない場合、遠くから見た際にはっきり判別できず、必要な情報が伝わらない可能性があるので注意が必要です。
ピクトグラムでは背景が白であることが多いです。
そのため、記号の色は、赤や黒、緑などはっきりした色を使うと視認性が高まり、瞬時に認識しやすくなります。
反対に、薄い青や黄緑などぼやけた色は、背景と同化し認識しにくくなる可能性があるので避けた方が良いでしょう。
詰め込むべき情報を取捨選択する
ピクトグラムは見た人が瞬時に認識できるデザインであることが重要です。
ついついわかりやすいようにと情報を詰め込みたくなってしまいますが、多すぎると見た人に迷いを与えてしまいます。
カフェを例に考えてみましょう。
カフェで思いつくのは、コーヒーカップやケーキ、フォークなどです。
しかし、これら全てを描かなくても、コーヒーカップのイラストのみで「カフェかな?」と伝えることができます。
モチーフをいくつも書くと視認性が悪くなり、遠くから見た時に瞬時に判断するのが難しくなります。
情報を正確に伝えるには、不要な部分をそぎ落とし、シンプルにすることも大切です。
素材サイトやツールを活用する
ピクトグラムの作成時は、ピクトグラムの素材サイトやツール活用するのも方法の1つです。
素材サイトには、学校やエスカレーターなど様々な素材が掲載されています。
それらを活用すれば、ピクトグラムを一から作成する手間を省けます。
素材サイトは無料で利用できるものも多いので、上手く活用すると良いでしょう。
また、ピクトグラムの編集ツールを使えば、用途に合わせて簡単に作成することも可能です。
ピクトグラムのデザインで気をつけるポイント
一見簡単そうに見えるピクトグラムですが、背景と記号の2色のみで表現するからこそデザインする際に気を付けたいポイントをご紹介します。
ピクトグラムの基本は丸・角丸長方形・線の3つ
シンプルなデザインのピクトグラムは、使われている図形もシンプルです。
基本は、丸と角丸長方形、そして線の3種類です。
これらの図形を組み合わせて、情報をわかりやすく伝えられるデザインを考えましょう。
そのためには、何を目的に使われるものなのか、イメージをすることが大切です。
そして、イメージをどのように視覚化するか、情報を詰め込みすぎていないか、チェックしてみてください。
使う色や線の太さを考える
同じイラストでも使う色や線の太さによって、印象は大きく変わります。
どのようなデザインにするか決まったら、細かい部分を調整しながら、複数のパターンを作ってみましょう。
なお、ピクトグラムでは線の太さや角の形を統一することも大切です。
どのくらい角を丸めるか、太さはどのくらいにするか、具体的に数値で決めておくと作成がスムーズに進むのでおすすめです。
サイズや面積
ピクトグラムを作成する際は、基本的なサイズや面積を統一することが大切です。
サイズや面積がバラバラの場合、並べた時の見映えが悪くなります。
また、ピクトグラムでは色の選択だけでなく、色の面積もデザイン性を左右する重要な要素の1つです。
枠だけにするか、ベタ塗りするかによってもイメージが変わるため、利用シーンや活用場所なども考慮して、塗る面積を決定しましょう。
誰にでもわかるモチーフを使う
ピクトグラムを作成する際は、概念を視覚化することが大切です。
もし視覚化がうまくうかないと、うまく情報を伝えることのできないピクトグラムになってしまいます。
例えばサンタやクリスマスツリーのデザインは、一目見てクリスマスをイメージできるでしょう。
しかし、これがもしケーキであれば、すぐにクリスマスをイメージするのは難しいはずです。
そのため、誰が見てもわかりやすいピクトグラムを作りたいならば、国籍や年齢関係なく、誰が見てもすぐにわかるモチーフを利用してみてください。
誰にでもわかるモチーフをベースに考えてみると、ピクトグラムのアイディアも思いつきやすくなるでしょう。
効率良くピクトグラムを作るには
ExcelやAdobe Illustrator以外にも、ピクトグラムを作る方法はあります。
ここでは、効率良くピクトグラムを作成できる方法をご紹介します。
「アイディアが思い浮かばない」「一から作るのは苦手」といった方は、ぜひこれから紹介する方法を検討してみてください。
素材サイトを使う
素材サイトには様々なピクトグラムが用意されており、ダウンロードをすれば誰でも使用できます。
基本的に著作権は作者にあることがほとんどですが、中には著作権表記をしなくても使える素材もあります。
一からデザインするのが苦手な方は、ピクトグラムの素材サイトを使うのもおすすめです。
ただし、企業が素材サイトを使うには、商用利用が許可されている必要があります。
利用時は必ず各サイトのルールや使用方法に目を通すようにしましょう。
専用の作成ツール
ピクトグラムを作成できる専用ツールもあります。
専用ツールでは、ピクトグラム作成にも使える素材を搭載しているため、手軽にピクトグラムを作成することが可能です。
無料でダウンロードできる素材やテンプレートが多いのも嬉しいポイントです。
デザイナーへ依頼
「アイディアが思い浮かばない」「思うように作れない」など、自分で作るのが難しい場合は、プロのデザイナーへ依頼するのも方法の1つです。
プロのデザイナーなら要望に合ったピクトグラムの作成が期待できます。
費用はかかりますが、従業員の負担が減るメリットもあります。
ただし、デザイナーに依頼する場合は、これまでの制作実績や得意分野を事前にリサーチすることが大切です。
デザイナーにはそれぞれ得意不得意があります。
デザイナーだからといってピクトグラムが得意、作れるとは限らないので注意しましょう。
まとめ
今回は、ピクトグラムについて、作り方や作成時にこだわりたいポイントや気を付けたいポイントをご紹介しました。
一目で情報を伝えられるピクトグラムは、看板やWEBサイトなど様々な場面で活用できます。
Excelや Illustrator、専用ツールを使えば自分でも作ることができるので、興味のある方はぜひ試してみると良いでしょう。
ただし、自分で作る場合、新たにデザインを考えたり、ツールの操作を覚えたりといった手間がかかります。
業務の負担が増えるのは避けたいのであれば、デザイナーに依頼するのも1つの方法です。
ピクトグラムを作る際は、今回紹介した内容を参考に、自分に合った方法を選択してください。
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