国内外を問わず多くの人が活用しているSNSでアカウントを作成し、運用する企業も増えています。
SNS運用は企業やブランド、商品・サービスなど認知度向上や、顧客と直接コミュニケーションが取れるなどのメリットがあります。
しかし、その一方で炎上のリスクがあることも確かです。
効果的なSNS運用を行い、炎上のリスクを防ぐためにも、まずはガイドラインを策定することが重要となります。
今回は、SNS運用に欠かせないガイドラインとは何か、ガイドラインに定めるべき項目や策定するためのポイントを解説していきましょう。
SNS運用に必要なガイドラインとは?
SNS運用のガイドラインは、運用中に起こり得るトラブルを回避できるように定めたものです。
ガイドラインには社内で共有し、社員が誰でも運用できるようにした社内用ガイドラインと、企業の信頼性を高められる社外向けのガイドラインがあります。
また、多くのユーザーを対象に禁止事項や免責、トラブルが発生した時の削除方針などが盛り込まれた「コミュニティガイドライン」もSNS運用に欠かせないものです。
なぜガイドラインを策定しなくてはならないのか?
なぜSNS運用を始めるためにガイドラインを策定しなくてはならないのでしょうか?
ガイドラインを策定する理由として、以下の3つが挙げられます。
SNS上でのトラブルを回避するため
ガイドラインを策定する最大の目的は、やはりSNS上で起こり得るトラブルを回避するためです。
SNS運用によって顧客と直接コミュニケーションが取れるほど距離が近づきましたが、その一方でトラブルや炎上のリスクも高まっています。
一度トラブルや炎上に巻き込まれてしまうと、企業の利益や信用が損なわれてしまい、場合によっては企業に大きな損失を招いてしまう恐れもあります。
属人化を防ぐため
企業でSNSを運用する場合、運用チームを作って複数名で担当するか、中小企業などリソースをあまり割けない場合だと1人で担当するケースも少なくありません。
しかし、もしその担当者が別の人に変わった場合、投稿内容のトンマナ(トーン&マナー)が異なってしまう可能性があります。
だからといって担当者1人に属人化をさせてしまうと、企業側で運用状況を把握しにくくなったり、継続してSNSを運用するのが難しくなったりします。
こうした属人化を防ぐためにも、SNS運用のガイドラインを策定しておくことで、担当者が変わってしまっても投稿の方向性やトンマナを維持することが可能です。
投稿内容の質を落とさないため
投稿内容の質や頻度にばらつきがあると、企業のブランディングを損ねてしまう可能性があります。
トンマナに限らず、投稿する時間帯などもルールを設けておくことで、イメージの一貫性を保てるようになります。
投稿内容の質を落とさないためには、SNS運用のガイドラインに記載された禁止事項やルールなどに従い、問題がないか確認した上で投稿するのが望ましいです。
ガイドラインに定める項目
SNS運用のガイドラインにはどのような項目を盛り込むと良いのでしょうか?
一般的に盛り込まれている項目は以下のとおりです。
・基本方針や原則
・SNSを運用する上での心構えや姿勢
・SNSを運用する目的
・適用範囲
・所属の開示について
・免責事項
・内部情報や業務に関する情報を発信する際のルール
・禁止事項、投稿削除について
・問題が発生した際の対応方針
・懲戒規定
ただし、これらはあくまでも一般的なものであり、自社の状況に合わせて定めた方が良い項目は違ってきます。
自社のガイドラインにはどんな項目が必要かを選定し、実態に即したガイドラインを策定しましょう。
SNS運用のガイドラインを策定するためのポイント
実際にSNS運用のガイドラインを策定する際には、以下のポイントを押さえることも大切です。
ここで、ガイドライン策定で押さえておくべきポイントを解説します。
目的や対象を明確にする
SNS運用のガイドラインを策定する前に、まずはなぜSNS運用が必要なのか、誰に向けたガイドラインなのかを明確にする必要があります。
SNS運用の目的は企業によって異なるものです。
例えば企業やブランド、商品・サービスの認知度向上やブランディング、顧客と直接コミュニケーションを取ることなどが挙げられます。
運用の目的を明確にすることで方向性が定まり、より効果的な運用にしていくことも可能です。
また、SNS運用のガイドラインは一般的にアカウント運用にかかわるすべての従業員を対象に策定されるのが一般的ですが、そうなるとガイドラインで策定する内容が多くなり、その分わかりにくさもアップしてしまいます。
理解しやすいガイドラインを策定するには、対象を明確にした上でその対象に必要な内容を簡潔にまとめると、わかりやすい内容で仕上げることも可能です。
業界・社風に合わせて策定する
SNS運用ガイドラインは、業界や社風によってカスタマイズが必須です。
業界や社風に合わせてガイドラインを策定しないと、想定できたはずのトラブルに対応できなくなる可能性もあります。
業界ならではの特性やリスクを考慮しつつ、適切なガイドラインの項目を設定していきましょう。
起こり得るトラブル・リスクをすべて洗い出す
ガイドラインを策定する上で、運用中に想定されるトラブルやリスクをすべて洗い出すことも大切です。
企業がSNSを運用する際に起こり得るトラブルやリスクには、以下のようなものが考えられます。
・誹謗中傷
・差別的発言
・誤情報の拡散
・情報漏洩による顧客情報の流出
・著作権・肖像権の侵害
・なりすまし被害
・アカウントの乗っ取り被害
・ステマやインフルエンサーマーケティングに関するトラブル
企業に対する誹謗中傷を受けたり、なりすましやアカウントの乗っ取り被害に遭ったりするなど、企業側が被害を受けるケースもありますが、不適切な内容の投稿や顧客情報の流出などは企業側の行為を理由に炎上する可能性が高いです。
こうしたあらゆるトラブルが発生しても迅速に対応できるよう、ガイドラインを策定しましょう。
現場でヒアリングした内容を反映させる
ガイドラインの策定時には、必ずSNSを運用する担当者や現場にヒアリングを行うようにしましょう。
担当者や現場の声をヒアリングしてガイドラインに反映させることで、現場のニーズを満たしたガイドラインを策定できます。
実際にSNSを運用するのは担当者や現場になるので、スムーズな運用につながるガイドラインを策定するためにも、現場でヒアリングした内容を反映させるようにしてください。
継続的に更新する
ガイドラインは最初に策定すればそれで終わり、というわけではありません。
SNSなどの環境や社会事情などは常に変化しているため、ガイドラインの内容に関しても定期的に更新し続けていく必要があります。
また、新たなSNSにアカウントを作成した場合にも、これまでのガイドラインでは対応できない部分などが生じる可能性もあるため、今一度ガイドラインを策定し直すか、新しいSNS用のガイドラインを策定する必要があるでしょう。
他にも、SNS運用の担当者チームに新入社員が増えた際にも、リスクが変化する可能性もあるため更新が必要です。
最新情報なども取り入れつつ、ガイドラインを継続的に更新するようにしましょう。
今回は、企業のSNS運用に欠かせないガイドラインを策定する目的やポイントについて解説してきました。
SNS運用はブランディングを図ったり、顧客と直接コミュニケーションが取れたりするなど、多くのメリットを得られることから、現在は大手企業から中小企業に至るまで、SNSを運用しています。
しかし、SNSを運用していれば炎上などのトラブルに巻き込まれてしまう可能性があるのも事実です。
このようなトラブルを回避するためにも、SNS運用のガイドラインを策定し、安定して運用できるようにしましょう。