インターネットやスマホの普及によって、国内外を問わずSNSが発展してきました。

現在は様々な種類のSNSが存在しますが、その一方で誹謗中傷を受けてしまうケースも増えています。

そこで今回は、SNSで誹謗中傷が増加する理由について解説します。

また、各プラットフォームで注意すべきこともご紹介しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。

 

ネット上の誹謗中傷における相談件数は増えている

インターネットやSNSが普及してから現在に至るまで、ネット上での誹謗中傷における相談件数は増加傾向にあります。

総務省が運営委託をしている「違法・有害情報相談センター」では、2010年度の相談件数が1,337件だったのに対して、2022年度の相談件数は6,463件となっています。

12年で約5倍にまで相談件数が増加していることがわかりました。

また、相談件数の内訳を場所別に見た時、最も多かったのがSNSの1,939件で、全体の30%を占めています。

次いでブログ・個人のホームページが1,327件で20.5%、掲示板サイトが709件で11.0%でした。

このように、SNSで受けた誹謗中傷について相談するケースが多くなっています。

 

SNSで誹謗中傷が増加する理由

なぜSNSは誹謗中傷が増加しやすいのでしょうか?

SNSで誹謗中傷が増加する理由として考えられるのは、以下の4つです。

 

匿名性が高い

SNSで誹謗中傷が増加する一番の理由に、匿名性の高さが挙げられます。

匿名性が高いことによって誰でも簡単に意見などを投稿することができますが、その一方で発信する側は言動に対する責任感が薄れてしまいます。

「どうせ自分だとバレないだろう、わからないだろう」という気持ちから、相手に対して無責任な言葉を投げかけてしまうのです。

 

集団心理が働きやすい

集団心理が働きやすい点も大きな理由になっています。

SNSは誰かが投稿した内容に対して色んな意見が飛び交いますが、その多くが相手を傷つけるような投稿だった場合、「みんな言っているから」という理由で気軽に同じような投稿をする人もいます。

1人なら発言を控えるような過激な内容も投稿してしまうため、誹謗中傷の投稿が増え続けてしまうのです。

 

SNSを利用する時間が増えている

総務省情報通信政策研究所による「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報公道に関する調査報告書」では、平日におけるSNSの平均利用時間について年代別にまとめたデータが掲載されています。

 

【年代別SNSの平均利用時間(平日)】

10代:56分

20代:79.4分

30代:45.3分

40代:31.9分

50代:27.3分

60代:13.8%

 

特に20代は、1日のうち平均79.4分もSNSに使っていることがわかりました。

SNSを利用する時間が増えれば、その分誹謗中傷に巻き込まれてしまうりリスクは高いです。

 

間違った正義感を持っている

SNSを利用している人の中には、間違った正義感を持っている人もいます。

例えば他人の失敗や欠点などを批判することが賞賛されてしまい、これが過度に行き過ぎてしまうと個人に対する攻撃へとつながってしまうのです。

また、間違った正義感を持っていると自分とは異なる意見に対して、「自分は正しい、相手が間違っている」と思い込んでしまい、その意見を正そうとして誹謗中傷に至ってしまうケースもあります。

この場合、正義感の元に行っている行為になるため、やっている本人に誹謗中傷をしているという自覚はありません。

 

SNSの各プラットフォームで注意すべきこと

SNSと言っても様々なプラットフォームがあり、それぞれで注意点は異なります。

ここで、各SNSの特徴と注意すべき点をご紹介します。

 

X

SNSの中でも特に誹謗中傷に関する相談件数が多いのが、X(旧Twitter)です。

Xは他のSNSに比べて多くのユーザーが利用しており、個人情報を入力せずにアカウントを作成することが可能です。

そのため、匿名性は非常に高いSNSと言えます。

また、リポスト機能によって話題の投稿は一気に拡散されやすいことや、140文字以内で入力しなくてはならないため説明不足による誤解を招きやすいことなども要因として挙げられます。

 

万が一Xで誹謗中傷を受けてしまった場合、相手の投稿に対して直接言い返すのは避けましょう。

挑発に乗って言い返してしまえば、相手からの誹謗中傷はさらに激しくなってしまったり、周りの人まで巻き込んでしまったりする可能性もあります。

また、反撃に出た際に相手が投稿またはアカウントそのものを削除する恐れもあるでしょう。

そうなると証拠がなくなってしまい、法的措置に移れなくなるので注意してください。

スクリーンショットなどで証拠を残してから、誤った情報が拡散されないように投稿を削除してほしい場合、Xのヘルプセンターにある問い合わせフォームから削除依頼を申請することも可能です。

ただし、Xのルールに当てはまる違反コンテンツではないと判断された場合は削除が認められないので注意してください。

 

Instagram

Instagramは20~40代の女性ユーザーが多く利用しているSNSです。

画像や動画の投稿を主体としており、ハッシュタグを使って自分の欲しい情報だけを取得できるようになっています。

そんなInstagramでも誹謗中傷を受けたり、逆に誰かに対して誹謗中傷と取れる投稿をしたりする人もいます。

例えばInstagramには24時間後に投稿が消える「ストーリーズ機能」がありますが、ここに誰かに対する誹謗中傷を書いて投稿してしまう人もいます。

投稿した人は「24時間後には消えてしまうから大丈夫だろう」と思ってしまいますが、その間に証拠を確保してしまえば訴えられる可能性は高いです。

また、Instagramは画像や動画の投稿を主体としていることから、個人の顔や容姿などを撮影して投稿する人も少なくありません。

しかし、個人の顔や容姿を投稿することによって、コメントなどで誹謗中傷を受けてしまうこともあります。

 

TikTok

TikTokは、短い尺の動画を共有・拡散できるSNSです。楽曲に合わせて歌ったり踊ったりする動画や、おすすめの商品を紹介する動画など、エンタメ系の動画を投稿するユーザーが多い傾向にあります。

主に10代・20代の若年層が多く利用しているSNSになりますが、近年は幅広い年代の人も利用するようになってきています。

TikTokも動画が主体となるSNSなので、自分を撮影した動画を投稿すると、その動画に対して誹謗中傷を受けてしまう可能性が高いです。

また、動画の中に映り込んだ部屋の中や郵便物、窓の外の風景などから個人情報が特定されてしまうなどのリスクも伴います。

 

TikTokで誹謗中傷のリスクを回避するためには、アカウントの非公開設定やコメント・動画ダウンロードの制限を設定するのがおすすめです。

アカウントを非公開にすることで、承認したユーザーのみフォローや動画を視聴できます。

また、プライバシー設定から自分の動画にコメントできる人と自分にメッセージを送信できる人をあらかじめ設定しておけば、心ないコメントやメッセージが来ることもありません。

動画のダウンロードも制限しておけば、TikTokのまとめ動画などで流用されることもなく、拡散されるリスクを防げるでしょう。

 

LINE

LINEはSNSの中でも幅広い年代が利用しているアプリです。

誹謗中傷における名誉毀損罪が成立するには、「公然性(不特定多数の人が認識しうる状態)」が必要となりますが、LINEは個人間のやり取りだと名誉毀損罪には該当しない可能性が高いです。

ただし、LINEでも個人間のやり取りではなく、以下でやり取りをした際に公然性があると判断され、誹謗中傷による名誉毀損罪が成立する場合もあります。

 

オープンチャット

・LINEの投稿を公然性が認められるサイトに投稿した

・LINE VOOMで公開範囲を全体公開に設定して投稿した

 

これらは不特定多数の人が認識しうる状態になるため、名誉毀損罪が成立する可能性が高いのです。

LINEのオープンチャットなどで誹謗中傷を受けた際には、カスタマーサポートを経由してオープンチャット名や招待URL、誹謗中傷と思われる具体的な投稿とその理由・背景、誹謗中傷を行ったユーザーのニックネームなどの情報を記載して通報しましょう。

 

 

今回は、SNSで誹謗中傷が増加する理由や、各プラットフォームで注意すべきことをご紹介してきました。

SNSでの誹謗中傷は年々増加傾向にあり、突然他人から攻撃を受けてしまう可能性もあります。

誰かにとって不快と感じられてしまうような投稿を行わないことはもちろん、発信者と受信者の双方がお互いを尊重する姿勢を持つことが重要となってきます。

それでも誹謗中傷を受けてしまっている場合は、SNSのカスタマーサポートから投稿を通報したり、証拠を確保した上で弁護士などに相談したりすると良いでしょう。