誹謗中傷を受けた場合、名誉毀損罪で相手を訴えることが可能です。
ただし、名誉毀損罪で法的措置を取るには時効があるため、タイミングが重要となります。
今回は、誹謗中傷の時効をはじめ、名誉毀損罪で訴える際の注意点や取るべき行動を解説します。
誹謗中傷で悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
誹謗中傷とは?どのような行為が名誉毀損に該当する?
誹謗とは相手の悪口をいうこと、中傷とは根拠のないことで相手の名誉を傷つけることを指します。
誹謗中傷は悪口や嫌がらせ、デマなどによって、他人を傷つける一連の行為のことであり、内容によっては名誉毀損罪で相手を訴えることが可能です。
ただし、名誉毀損の罪で問うには、「公然性」「事実適時性」「名誉毀損性」の3つの要件を満たす必要があります。
公然性:不特定多数の人に見られている
事実適示性:事実が具体的に書かれている
名誉毀損性:社会的な評価を下げる内容である
例え加害者の言葉で傷ついたとしても、それが閉鎖的な環境だった場合、社会的評価を下げるとは言い切れないため名誉毀損罪は成立しません。
しかし、口コミサイトやSNSなど不特定多数の人が見ることのできる環境で誹謗中傷がなされた場合、個人を容易に特定できる内容であれば、実名ではなくイニシャルや伏せ字であっても名誉毀損が成立することがあります。
名誉毀損の時効は「刑事」と「民事」で異なる
誹謗中傷の内容が「公然性」「事実適時性」「名誉毀損性」の3つの要件を満たしていれば、名誉毀損で相手を訴えることが可能です。
ただし、名誉毀損で訴えるには時効があり、さらに「刑事」か「民事」かによって異なります。
以下では、名誉毀損の時効について詳しく解説します。
「刑事」の時効
刑事上の名誉毀損の公訴時効は3年、親告罪の告訴期間は6ヶ月以内です。
公訴時効とは、一定期間が経過すると加害者を罰することができなくなる期間のことです。
公訴時効は罪の種類によって定められており、犯罪が終わったタイミングからカウントされます。
インターネットで誹謗中傷され名誉毀損で訴える場合、書き込みが終わった時から3年経過すると公訴時効が完成し、訴えることができなくなります。
また、親告罪である名誉毀損は告訴期間にも気をつけなければいけません。
親告罪とは、被害者が起訴しなければ検察側が勝手に起訴することはできない犯罪のことです。
親告罪の場合、告訴できるのは犯人を知った日から6ヶ月と定められています。
つまり、名誉毀損で訴えるには犯人を知ってから6ヶ月以内に告訴状を提出しなければならないのです。
「民事」の時効
民事の場合、名誉毀損の時効は被害を受けてから、もしくは加害者を知ってから3年間です。
民事とは主に賠償や権利の確認などが争点となるもので、加害者に問えるのは損害賠償請求です。
国が介入し必要に応じて罰を与える刑事事件とは法律上の手続きや目的が大きく異なることを覚えておきましょう。
なお、名誉毀損で損害賠償請求をするには加害者を特定する必要がありますが、匿名の場合、なかなか難しいこともあるでしょう。
そのような場合、違法行為が行われてから20年以内であれば民事責任を問うことが可能です。
20年を過ぎてしまうと、問うことができなくなるため注意が必要です。
誹謗中傷被害に遭った際に取るべき行動とは
誹謗中傷を受けた場合、名誉毀損で訴えるにはどのように行動すれば良いのでしょうか。
ここでは、誹謗中傷被害を受けた際に取るべき行動を解説します。
誹謗中傷の証拠を保存する
名誉毀損で訴えるにも該当の投稿が残っていなければ被害を証明することはできません。
加害者が投稿を削除するなどして証拠隠滅を図る前に、証拠を保存しておきましょう。
該当する書き込みを見つけたら、書き込みのプリントアウトやスクリーンショットを撮ることをおすすめします。
なお、証拠を保存する際は書き込みされた日付やURLをのこしておくことも大切です。
書き込みの削除請求を行う
悪質な書き込みの証拠を保存したら、書かれたサイトの管理者や運営会社に削除請求を行いましょう。
誹謗中傷をそのままの状態にしていては、誤った情報が拡散され、被害がさらに広まる恐れがあるからです。
問い合わせフォームがある場合は、案内に沿って削除の申請をしてください。
刑事告訴する
誹謗中傷を行った加害者に対し、刑事上の罰を与えたい場合、公訴時効や告訴期間内であることを確認した上で警察に告訴状を提出しましょう。
告訴状が受理された場合、捜査が行われ逮捕や起訴に至ります。
誹謗中傷の内容が名誉毀損になるのか、要件を満たしているのか不安な方は、事前に警察へ相談するのも一つの方法です。
電話で相談することで不安を解消した上で行動に移すことができるでしょう。
弁護士に相談する
任意の削除請求では、削除依頼に応じてくれないことがあります。
そのような場合は、弁護士に相談すると良いでしょう。
晩越しなら法的な根拠に伴った削除請求ができるほか、情報開示請求を行うことも可能です。
情報開示請求は誹謗中傷が書き込まれたサイトやSNSに対し加害者の情報を開示するよう求める行為です。
開示請求をすれば加害者を特定できる可能性が高く、損害賠償請求も可能になります。
ただし、弁護士に依頼する場合、時間はもちろん費用もかかるため、ある程度資金を用意しておくと安心です。
誹謗中傷を名誉毀損で訴える際の注意点
最後に、名誉毀損で訴える際に知っておくべき注意点を解説します。
発信者情報開示請求をしなければならない
発信者情報開示請求とは、被害者がプロパイダに対し、書き込みをした人物の情報を開示するよう求めるものです。
プロパイダ責任制限法により、例え匿名の投稿であっても被害者は加害者の氏名や住所などの情報を取得することが可能です。
ただし、プロパイダに対し発信者情報開示の手続きをしても任意で応じてもらえることはほとんどなく、弁護士に依頼しなければならないケースが大半です。
犯人特定までに半年以上かかることもある
弁護士に依頼し発信者情報開示請求を行っても、犯人を特定するには時間がかかります。
半年以上かかることも多く、スムーズに進んだとしても4ヶ月近くかかることも珍しくありません。
法律の改正により手続きが簡素化されたとはいえ、まだまだ犯人特定には時間がかかるため、被害を受けた時点で早めに行動に移すことが大切です。
IPアドレスの保存には時間制限がある
加害者を特定するために必要なIPアドレスは、多くの場合保存期間に時間制限があります。
だいたい3ヶ月~半年程度しか保存されていないことがほとんどで、保存期間を過ぎてしまうと加害者を特定するのが難しくなります。
加害者を特定できなければ刑事告訴はもちろん、損害倍層請求もできなくなる可能性があるため注意が必要です。
今回は、誹謗中傷の時効について解説しました。
誹謗中傷が特定の要件を満たした場合、名誉毀損として「刑事」もしくは「民事」で訴えることが可能です。
ただし、名誉毀損は親告罪であり、時効が存在します。
時効を過ぎてしまうと加害者に処罰を与えたり、損害賠償請求をしたりすることができなくなります。
「これって名誉毀損では?」と思った時は、証拠を保存しサイトの管理や運営会社に削除請求を出した上で、適切に対応しましょう。
誹謗中傷の被害に遭った際は、早めに行動に移すことが大切です。



















