インターネットには、誹謗中傷やフェイクニュースなどの「デマ情報」も飛び交っています。
専門的知識の持たない一般ユーザーが根拠のない情報を書き込んだり、思い込みや勘違いで他人を批判したりするSNS投稿・ブログ記事も少なくありません。
これらの不正確な内容の情報は、時として社会に大きな影響を及ぼすことがあります。
今回はインターネット上にデマ情報が拡散された実例と、誤った情報に惑わされないための対策方法について解説しましょう。
政治的デマ情報による選挙妨害
2016年11月のアメリカ大統領選挙において、
「ローマ方法がトランプ候補の支持を表明」
「クリントン候補の陣営関係者が人身売買に関与」
などの誤った情報がSNS上に拡散されました。
これはアメリカの選挙では珍しいことではなく、偽情報や陰謀論が飛び交うのは毎度おなじみの光景だといいます。
しかし近年、SNSの利用によって「フェイクニュース」が単なる噂や悪ふざけの範疇を超えるような強大な拡散力をもって社会を脅かすようになりました。
2016年の大統領選挙では40ものフェイクニュースサイトが立ち上げられ、Facebookを通じて大規模に拡散されています。
デマ情報を信じた人による発砲事件や脅迫事件も起こり、世界の人々がフェイクニュースの恐ろしさを実感した出来事となりました。
誤った情報は大統領選の結果にも大きな影響を及ぼしたと考えられており、デマを拡散することは有権者の意見を反映する公平な選挙を妨害する行為として非難されています。
ヘルスケアに関するデマ情報
1998年、権威ある医学誌に「風疹・麻疹・おたふくかぜの混合ワクチンMMRが精神疾患を引き起こす可能性がある」との論文が掲載されました。
後にこれは科学的根拠のないデマ情報だと判明しましたが、子どものワクチン接種率を低下させ、世界的に感染症を拡大させる可能性のある危険な偽情報の一つです。
現在でもこの情報を信じ込み、MMRをはじめとするワクチン接種に反対する団体は存在しているといいます。
また、1950~1970年代にかけて自閉症は不適切な子育てによって発症すると考えられており、「冷蔵庫マザー」という言葉も生まれました。
現在では大多数の精神科医師がこれを否定していますが、当時は自閉症児を持つ母親の多くが自分を責め、今でも自閉症児やその家族に対して間違った解釈をしている人は多いです。
近年では、COVID-19のパンデミック時に誤った情報や根拠のないデマが世界中で爆発的に広まりました。
ウイルスの起源とされた地域に住む人は迫害を受け、人種差別による傷害事件も発生しています。
間違った予防法や治療法もSNSなどで拡散され、適切な医療行為や感染症対策の妨げになりました。
医療に関するデマ情報には、人々の命を脅かし、人間としての幸福や社会とのかかわりを奪うほどの力があります。
専門的知識のない人が気軽に取り扱うべきではなく、情報を発信する際は科学的な根拠の提示が必須です。
閲覧する側も信ぴょう性を厳しく精査し、目にした情報を鵜呑みにしないよう気を付けなければなりません。
デマ情報がデジタル犯罪のエサに
フィッシング詐欺やハッキングなどのデジタル犯罪では、デマ情報がきっかけで被害に遭った人も多いです。
例えば利用中のネットバンキングサービスを騙る送り主から「不正アクセスを防ぐためパスワードの変更をお願いします」というメールが届き、アクセスしたところ口座の残高を全て奪われてしまったという詐欺事件が相次いでいます。
URLをクリックしただけで個人情報が盗み取られるハッキング被害も多発しており、注意が必要です。
なかには本物そっくりの企業ロゴやアイコンまで用意して、ほとんど見分けのつかないメルマガを配信する詐欺師もいます。
メールが一日に何通も送られてくるのに、アプリには何の通知も届いていないという場合もあるでしょう。
似たような事例が起きていないか公式サイトなどで確認し、不審なメールでないかチェックしてから開封することが大切です。
インターネット上のデマ情報に対抗するには?
デマ情報に惑わされないためには、正確な情報と誤った情報を見抜く力を身に付けなければなりません。
例えば次のような方法で、インターネット上にあふれる情報からデマを炙り出すことができるでしょう。
ファクトチェック
デマ情報を信じ込んでしまうことによる被害を防ぐには、「ファクトチェック」が何よりも大切です。
ファクトチェックとは、目にした情報やニュースが事実に基づいているか、確かな根拠があるかを調べる「真偽検証」のことをいいます。
近年インターネットを扱う一般ユーザーや事業者に向けてファクトチェックを提供する企業が増えており、検証のプロセスを公開しているところも多いです。
正確な情報を得るには、信頼できるファクトチェック企業のメディアを利用すると良いでしょう。
デジタルリテラシーの向上
デマ情報を信用して被害に遭うこともあれば、真偽を確認しないまま拡散して他者に損害を与えてしまうこともあります。
インターネット上にある情報を正しく理解・分析し、真偽を判断するには、まずはデジタルやIT(インフォメーション・テクノロジー)についての知識が必要です。
デジタル技術に関する知識やスキルを持ち、適切に取り扱える能力を「デジタルリテラシー」といい、これを備えるとデマ情報にも振り回されなくなるでしょう。
特にこれからインターネットを活用する場面が増える子どもたちへは、年齢に合わせた段階的な学習・教育が必要です。
従業員に情報社会に対応できる能力を身に付けさせるため、デジタル時代に適したコンプライアンスを意識させるために、インターネットやSNSの活用についての研修やセミナーを受講させる企業も増えてきました。
AI技術の活用
FacebookはAIを活用したデマ情報検出システムを構築し、誤った情報が拡散されないよう防ぐ取り組みを行っています。
機械学習のスタートアップLogicallyは、一般ユーザーによって投稿された内容を分析してデマ情報を即座に検出するシステムを開発して話題になりました。
人間の知識や経験だけでデマを見抜くのは難しく、いくら気を付けていても騙されてしまうことはあります。
インターネットを利用して情報収集するユーザー側が、AIによるデマ検出機能を搭載したサイトやSNSを選ぶべき時代に来ているのかもしれません。
デマを見抜くために今すぐできること
気軽にホームページやブログを見ているだけ、SNS投稿を流し見しているだけ…と特に警戒心を抱くことなくインターネットを利用している人も多いでしょう。
しかしその気のゆるみこそが、デマ情報に惑わされる最大の原因なのです。
どんな媒体による、どんな内容の情報であっても、まずは一度疑ってみてください。
根拠のないデマや医学的・科学的データのない効果、個人の感想や主観的な口コミを見分けられると、正しい情報を選び取ることができるようになります。
自分の真実を見抜く目に自信がない人は、ファクトチェックやAIによるデマ検出機能を積極的に利用し、抵抗力を高めましょう。
しかしこれらのテクノロジーも完ぺきではないため、一人ひとりが「デマかもしれない」という意識を持ってインターネット上の情報を厳しく審査することが大切です。
インターネット上の情報は鵜呑みにせず、複数の情報によって真偽を検証してから信じるべきか判断しなければなりません。
デマ情報の具体的な事例を調べることで、騙されやすいパターンや被害に遭わないために取るべきだった行動が見えてくるでしょう。


















