社会的な信用が業績や会社の存続自体にも大きな影響を及ぼすため、多くの企業では「風評被害」の対策が必要不可欠です。
風評被害が発生した際は適切な対応を実施し、できるだけ早期に解決することが求められます。
初期対応を誤ると、さらに被害が拡大してしまう可能性もあるでしょう。
あらかじめ風評被害の影響を把握し、対策を講じておくことが大切です。
今回は、企業における風評被害の影響や原因、風評被害の実例について解説します。
風評被害対策とは
根拠のないデマや噂、誹謗中傷などによって企業や個人が被る社会的・経済的損害のことを「風評被害」といいます。
事実と異なる情報が報道され、本来関係のないはずの人物や組織、商品・サービスが避けられたり差別されたりすることも多いです。
その結果、企業の信用が失墜し、売り上げを低下させてしまうでしょう。
風評被害を未然に防ぎ、デマ情報の拡散をできるだけ早く収束させ、被害を回復する一連の対策が「風評被害対策」です。
最近はテレビや新聞のほか、SNSなどインターネット上の風評被害も増加しており、企業のリスク管理における重要事項として挙げられることも多くなりました。
企業の風評被害は、会社だけでなく従業員一人ひとりの信頼にも関わる大きな問題です。
特にインターネット上に拡散される情報は世界中の人々に届き、根も葉もない噂や誹謗中傷が暴動や紛争につながり、人の命を奪うことすらあります。
組織・個人を問わず、さまざまな経済活動や人間関係は信頼によって成り立っており、風評被害対策を講じることは社会全体が円滑に営みを続けるうえでも重要な意味を持つでしょう。
風評被害の影響力
風評被害によって、次のような損失が企業や個人に発生すると考えられます。
◎信用の失墜
◎信頼関係の崩壊
◎ブランドイメージの毀損
◎売上減少
◎業績悪化
◎取引先や関係する人との関係が破綻
◎従業員など人材の流出
◎採用応募者の減少
◎新規顧客の獲得機会減少
◎既存顧客の流出
◎代表者・従業員の精神的苦痛
被害内容によっては、デマや噂による影響と特定できない可能性もあります。
風評被害であると証明するのが難しい場合もあり、反論・否定することで炎上させてしまうケースも多いです。
また、風評被害が起きていると気付かないまま企業活動を続け、さらにイメージを悪化させてしまうことも考えられます。
風評被害が起きる原因は?
風評被害が発生する主な原因は、不正確な情報が流布されることです。
テレビや新聞、サイト・ブログ・SNSなどのインターネットで根拠のないデマや噂が拡散され、自社が把握しきれない範囲にまで悪い評判が知れ渡ります。
SNSの利用が日常的になった現代において、社会的な知名度の高さや個人・組織の別にかかわらず、誰もが風評被害を受ける可能性があるでしょう。
防災情報研究の専門家は、次の3段階で風評被害が起きると指摘しています。
1.集合的増幅
不正確な情報が拡散されることで、社会全体に不安感が蔓延します。
2.組織的増幅
少数意見の影響力が増幅し、ネガティブな情報に対する過剰反応が起きます。
3.自己成就
多くの人々が不正確な情報を事実だと思い込み、デマや噂が社会的な評価として定着します。
風評被害対策に必要なことは?
風評被害対策は、
①未然に防ぐ
②被害を最小限に抑える
③被害を回復させる
の3つの段階に分けて検討することが大切です。
それぞれの具体的な対策方法について見てみましょう。
①風評被害を未然に防ぐ対策
会社の顔である従業員(パート・アルバイト含む)に対し、顧客対応などの教育を実施するのは風評被害を防ぐうえで最も大切なポイントとなります。
具体的な風評被害の実例を用いて、適切な対応について意見交換することも有効です。
近年はインターネットを利用したマーケティング活動を行う企業も増えていますが、公式WebサイトやSNSアカウントを運用する場合は投稿時のルールについて周知する必要があります。
誤解を招く表現やNGワードの禁止など、Webサイト・SNS運用のガイドラインを策定する企業も多いです。
従業員一人ひとりの意識によって風評被害を防止するとともに、風評被害が起きた場合を想定した危機管理体制を整備しましょう。
②風評被害を最小限に抑える対策
不正確な情報が拡散され、風評被害が発生すると想定される場合の初期対応について考えておく必要があります。
「誰が指示を出すのか」「誰が対応するのか」「誰・どこに報告するのか」など、風評被害を確認した初期段階の対応ルールを設けておくと被害の拡大を防げるでしょう。
③風評被害を回復させる対策
風評被害によって企業に損失が発生した場合、これを回復するための解決策もあらかじめ講じておかなければなりません。
法律に触れるような誹謗中傷や悪質なデマ情報の場合は、弁護士など専門家への相談をおすすめします。
法的な手続きによって対応し、再度風評被害を発生させないよう対策を強化することも大切です。
また、拡散された情報が不正確なものである以上、訂正したり事実を発信したりすることは風評被害を受けた企業の責務でもあります。
真実の情報を提供し、社会全体の不安を払拭するよう努めましょう。
風評被害を受けている当事者であるのにもかかわらず一般消費者やユーザーの誤解や心配を放置すれば、専門家などの第三者によってデマや噂が否定された後もブランドイメージの回復は望めません。
実際に起きた風評被害と対策事例
有効な風評被害対策は、企業の性質によって異なります。
実際に起きている風評被害から、適切な対策方法について考えてみましょう。
新型コロナウイルス感染症による風評被害
2019年から世界的に流行したCOVID-19は、日本では「新型コロナウイルス感染症」という名称が一般的に使われました。
「コロナ」という言葉が恐ろしい感染症を想起させるネガティブなキーワードとなり、メキシコのコロナビールや新潟県の株式会社コロナが風評被害を受けることになります。
この企業の商品・製品・サービスはCOVID-19とは無関係であり、安全性にも問題はありません。
しかし「コロナ」という言葉が会社名や商品名に含まれているだけで、買い控えや企業イメージの悪化が起きてしまいました。
株式会社コロナの代表は新聞広告に社員の家族に向けたメッセージを掲載し、社会の誤解を解くとともに社員やその子ども達の不安を解消するよう努めています。
電子力発電所事故による風評被害
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、原子力発電所にて事故が起きました。
その結果、福島県産の農産物や海産物、加工食品の安全性を疑う声が広がり、これらを取り扱う企業は経済的な損失を受けます。
放射性物質検査などの厳密な検査により安全性が確認された後も、福島県産の食品を買い控える風潮は続きました。
さまざまな誤解や不安による風評被害は、福島県だけでなく日本全体の食の安全イメージに影響を与えることになります。
現在は少しずつ風評被害から回復しているとみられていますが、まだ以前のような状態に戻っていないと指摘する生産者も多いです。
日本政府や福島県は、日本国内だけでなく世界各国に向けて安全性を強調し、メディアや公報を通じて福島県産食品の情報を発信し続けています。
風評被害について社内で情報を共有し、対策について話し合っておくことはリスク管理の観点でも重要です。
実際に起きている事例から自社に必要な対策方法を検討し、万が一風評被害が発生した場合どのように立ち回るかシミュレーションしましょう。


















