ビジネスを成長させる上でブランド戦略やマーケティング戦略は重要です。
しかし、混同されやすく一方のみが重視されてしまうケースもあります。
ブランド戦略とマーケティング戦略は目的や役割に違いがありますが、互いに連携することで、より大きな力を発揮します。
両者の違いを理解できればより効果的な戦略が立てられるため、ビジネスの成長へとつながっていくはずです。
そこで今回は、ブランド戦略とマーケティング戦略の違いについて解説していきます。
また、それぞれのメリットややり方についても紹介していくので、事業の成長を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

ブランド戦略とマーケティング戦略の違い

ブランド戦略とは、ブランディングを行うための戦略です。
一方、マーケティング戦略は市場やニーズを分析して商品やサービスを提供する価値やアプローチ方法を決めることを指します。
両者の違いは以下の通りです。

項目 ブランディング戦略 マーケティング戦略
目的 信頼構築・ファン化・ブランド価値の最大化 売上アップ・市場シェア獲得・顧客獲得
アプローチ 顧客の感情や印象に訴える 顧客の行動や選択を促す
期間 数年~数十年の長期 キャンペーン単位~数年の短期~中期

ブランド戦略は、信頼構築やファン化が主な目的です。
「○○といえばこの会社」「○○といえばこの商品」といったポジションを作るための戦略となります。
接客や品質、ロゴや社会貢献活動など、あらゆる接点で同じ印象を与える必要があり、一度戦略を決めたら簡単には変わらない特徴があります。
一方、マーケティング施策は売上アップや市場シェアの獲得などが主な目的で、効果的に商品を届けるための仕組みづくりです。
価格や流通経路、広告などを検討し、時代やトレンドに合わせて柔軟に変化させる必要を持つ特徴があります。

ブランド戦略とマーケティング戦略は切り離せるものではなく、互いに影響し合う相互作用がある点がポイントです。
ブランドが提供価値を確立してマーケティングがそれを具体的な需要に変換することで中長期的なファン化や短期的な売上向上を両立させることができます。
両者が連動することで一貫したブランド体験を顧客に届けられるため、結果として選ばれるブランドへと成長できる仕組みです。
具体的な例としてスターバックスが挙げられます。
スターバックスではブランド戦略として「サードプレイス」という価値を提供しています。
家庭でも職場でもない第3の落ち着ける場所を提供することで、おしゃれで質の高い体験を約束しています。
また、マーケティング戦略においては季節限定のドリンクやグッズ販売、アプリでのモバイルオーダーの導入、出店エリアの選定が挙げられます。
互いに影響し合うことで、ファン化を促しているだけでなく、顧客獲得や市場シェア獲得、売上アップにもつながっています。

ブランド戦略のメリット

ここからは、ブランド戦略に絞って企業が受けるメリットをご紹介していきます。

競合との差別化を図れる

市場には似たような商品やサービスがあります。
機能や価格だけでは差が付きにくくなっている点が特徴です。
そんな中で、優位性を出すにはブランド戦略が有効となります。
安心感のあるブランド、信頼感のあるブランド、画期的なブランドなど、機能を超えた価値観を訴求できれば、競合にはない独自のポジションを築けるはずです。

収益性アップが期待できる

ブランドが確立されれば価格競争に巻き込まれにくくなります。
「この企業が好きだから」「このブランドなら安心だから」といった理由で選ばれるため、例え価格が他よりも高くても選ばれやすいのです。
また、「○○の商品が欲しい」という指名買いも増えるため、広告を打ち続けなくても自然と商品やサービスが売れやすくなる特徴があります。

新商品も受け入れやすい

ブランドという価値があるため、新しい挑戦がスムーズになる点もメリットです。
新商品や新サービスが誕生した際、ブランド力のない会社だと「不安」「心配」といったネガティブなイメージもあるため、安定した売上を得るためには時間を要するケースも多いです。
しかし、既にブランドを確立している企業であれば、新商品を打ち出しても「あの会社なら大丈夫」「間違いない」と好意的に受け入れやすいため、新商品の展開がしやすくなります。

リスクマネジメントにつながる

ブランド戦略は風評対策にもつながります。
誠実なブランドイメージを築いている企業であればファンも多くいます。
そのため、万が一トラブルが発生しても過剰な炎上を防ぐことができるだけではなく、再起もしやすいです。
顧客からの信頼を得ているからこそのメリットと言えます。

マーケティング戦略のメリット

次にマーケティング戦略を立てるメリットを解説していきます。

経営リソースの最適化を図れる

マーケティング戦略を策定すれば、目標や方向性が明確化されます。
その結果、限られた資源をどこに投入すべきかが明確になるため、営業や広告のムダ打ちを減らすことができ、費用対効果が低い施策に時間をかけずに済みます。
成果に直結する施策に経営資源を集中させることが可能です。

顧客理解を深められる

マーケティング戦略を立てることで「誰に何を届けるのか」が整理されます。
消費者のニーズは時代と共に複雑化・多様化しており、緻密なデータ分析に基づいたマーケティング戦略の策定はビジネスにおいて必須となっています。
市場や顧客のニーズを把握した上でマーケティング戦略を立てれば、ニーズに合致する施策を実行しやすいです。
顧客が本当に困っていることに基づいた商品やサービスの開発が可能になり、「作ったのに売れない」「提供を開始したのに利用されない」といったリスクを防ぐことも可能です。
顧客のニーズや市場の変化にも対応しやすくなるため、軌道修正も柔軟に対応できるはずです。

ブランド戦略策定のステップ

実際にブランド戦略を立てる際の手順を解説していきます。

①現状分析
まずは、自社の課題を整理します。
3C分析を用いると顧客の悩みや求めていること、競合について、自社の強みなどを明確化しやすいです。
経営者や従業員、取引先やユーザーなどからの声を聞いて情報を集めましょう。

②ターゲットの選定
商品やサービスに合わせてターゲットを決めます。
具体的なペルソナを設定し、ターゲットを絞ることでニーズに合わせた効果的なアプローチが可能です。
顧客のニーズや好み、行動パターンなどを分析して、性別や年齢、ライフスタイルや価値観など、具体的なターゲット像を構築します。

③ブランドの立ち位置を決める
競合と比較した際の自社の立ち位置を明確にします。
「低価格」「高品質」「スピード」など、商品やサービスが持っているメリットを把握して他社とは異なる価値を構築します。

④ブランド・アイデンティティの定義
ブランドの核となる価値や個性を文明化したものがブランド・アイデンティティです。
ターゲットにどんなイメージを持ってもらいたいか、どういった価値を提供していきたいのかを具体的に決めていきます。
ロゴやキャッチコピーなど、細かい部分も徹底して世界観を表現します。

⑤ブランドメッセージの設定
ブランドメッセージを設計して一貫した世界観を顧客に伝えることも大切です。
ブランドの独自性や価値を伝える大切な役割となります。
わかりやすく、心に残る表現が理想です。

⑥広報の選定
ブランドの認知度を高めるためにも具体的な工法の方法を定めます。
テレビCMやネット広告、SNS広告やオウンドメディアの運営など、訴求方法は様々です。
ターゲット層に合わせた方法を選び、情報発信をしていきましょう。

マーケティング戦略のステップ

最後に、マーケティング戦略のやり方をご紹介していきます。

①現状分析
まずは、自分たちの状況をデータに基づいて客観的に把握することから始めます。
その際には、3C分析やSWOT分析が役立ちます。

②ターゲット・ポジションの決定
誰に対して商品を売るのか、他社と何が違うのかを明確化させるステップです。
その際にはSTP分析が有効です。
STP分析とは、市場を細分化(Segmentation)してターゲットを絞り(Targeting)、競合との差別化を図る(Positioning)ためのフレームワークです。
基本的には、S→T→Pの順に分析を進めていきます。

③具体的な施策の設計
ターゲットに対して具体的にどんなアプローチをするのかを決めるステップです。
マーケティング戦略の基本フレームの1つで、製品・価格・流通・販促の4つの要素を定義・最適化する4P分析が用いられます。
4つの要素を一貫させることで、ブレのないマーケティング戦略の設計につながります。

④実行と改善
施策をスタートしたら終わりではなく、データ分析が必須です。
最終目標となるKGIや中間目標となるKPIなどを定め、定期的に効果を測定します。
必要に応じて、戦略や施策の改善も必要です。
売れた理由や反応が悪い理由などを検証して次の施策に役立ててください。

 

ブランド戦略とマーケティング戦略は混同されがちですが目的やアプローチ、期間などに違いがあります。
互いに連動することで一貫したブランド体験を顧客に届けられます。
それぞれやり方にも違いがあるため、ご紹介した内容も参考にしながら戦略を練っていきましょう。