ブランド戦略を進める上で、「ブランド認知度を高めたい」「企業の信頼性を向上させたい」といった目標を掲げる企業は少なくありません。
しかし、ブランドの価値は数値化が難しく、施策の成果を正しく評価できていないケースも多く見られます。
そこで重要になるのが、ブランド戦略におけるKPI(重要業績評価指標)の設定です。
適切なKPIを設定することで、施策の進捗や成果を可視化でき、改善につなげやすくなります。
当記事では、ブランド戦略におけるKPIの設定方法や測定すべき指標例、失敗しないためのコツまでわかりやすく解説します。

 

ブランド戦略にKPI設定が必要な理由

ブランド戦略において、以下3つの理由からKPIを設定する必要があると言えます。

  • ゴールとやるべきことを明確にできる
  • 投資対効果を可視化できる
  • 改善サイクルが回しやすくなる

それぞれの理由について解説していきましょう。

ゴールとやるべきことを明確にできる

KPIは目標の達成度合いを測るための指標であり、KPIを測定することで目標までの進捗や到達率を把握できます。
つまり、KPIはあくまで中間目標という立ち位置であり、最終目標となるKGI(重要目標達成指標)に向けたKPIを設定しなくてはなりません。
そのため、KPIを設定する際には必然的に最終目標も決めることになります。
また、KPIを達成するためにどのような取り組みを行えば良いかも明確にできます。
特にブランド戦略はゴールや施策が曖昧になりやすいため、KPI設定時に明確化することが大切です。

投資対効果を可視化できる

ブランド戦略における施策は短期的に成果が出るものではありません。
長期的に取り組む必要があるものの、具体的な成果が出ていないと経営層や他部門から納得を得られない可能性が高いです。
しかし、KPIを設定して途中経過でも具体的な数値として成果が見えれば、納得してもらいやすいでしょう。
特にブランド戦略は成果が見えにくいため、KPIを設定して投資対効果を可視化することが重要となります。

改善サイクルが回しやすくなる

KPIの設定によって施策の効果を定量的に可視化できるようになると、改善サイクルが回しやすくなります。
例えばAの施策で50%の成果が出て、Bの施策で80%の成果が出ていることがデータで数値化できていれば、Bの施策にさらにリソースを割くことができ、Aは改善策を考えてさらに成果を上げていくことも可能です。
KPIを設定していないと、具体的なデータを出して施策の方向性を判断することが難しくなることから、KPIの設定はブランド戦略において重要だと言えるでしょう。

ブランド戦略で測定すべきKPI指標

KPIを設定する際は、KGIなどに合わせてKPIを決めることになりますが、主にブランド戦略で用いられているKPI指標は以下のとおりです。

【認知度の向上に関する指標】

  • ブランド純粋想起率
  • ブランド助成想起率
  • NPS

ブランドの純粋想起率はカテゴリなどの手がかりから自社ブランドを思い起こす人の割合を指す指標です。
例えば「100円ショップといえばどこを思い浮かべますか?」という質問に対して、ユーザーは何も見なくても特定のブランド名を回答できる状態だと、純粋想起率は高いと言えます。
一方、助成想起率はブランド名を手がかりに尋ねられたとき、そのブランドを知っているか確認できる指標です。
例えばアンケート調査などで「○○というブランドを知っていますか?」と尋ね、ユーザーは「知っている」と回答できる状態を指します。
また、NPS(ネット・プロモーター・スコア)は企業や商品・サービスに対して顧客がどれくらい信頼や愛着を持っているか数値化した指標になります。

【訴求力の強化に関する指標】

  • 問い合わせ数
  • 商談数
  • 成約数

訴求力の強化を課題とした際に、問い合わせ数や商談数、成約数などの指標で達成度を測ります。
施策を通じて実際に問い合わせ数が増加していれば、その施策の訴求力は高かったと判断できるでしょう。

ブランド戦略でKPIを設定する方法

ブランド戦略でKPIを設定する際には、以下の手順で進めていきます。

  1. 最終目標(KGI)を決める
  2. 重要成功要因(KSF)を洗い出す
  3. KSFから具体的な数値でKPIに落とし込む

1.最終目標(KGI)を決める

まずはブランド戦略の最終目標としてKGIを設定する必要があります。
KGIは期間や結果の数値、対象を明確にすることで、客観的に達成しているかどうかを判断できるようにします。
例えば、「ブランド関連商品の年間売上を30%増やす」「新規顧客のうちブランドに起因するコンバージョン率を50%に引き上げる」などが挙げられます。

2.重要成功要因(KSF)を洗い出す

KGIを設定したら、次に重要成功要因(KSF)の洗い出しを行います。
KGIから直接KPIを設定しようとすると、具体的な施策・数値に落とし込むことが難しく、誤った指標を設定してしまう可能性があります。
例えばKGIで「ブランド認知度を30%から60%に引き上げる」と設定した場合、この目標を達成するための施策や改善策は様々なものが考えられますが、どれを優先すべきか絞り込めない場合も少なくありません。
KSFを洗い出せば、KPIを設定する際の方向性を示すことができ、より最適なKPI設定につながります。
なお、KSFを洗い出す際にはブランド戦略の担当者だけでなく、KGIに関わる社員と一緒になって考えるようにしましょう。

3.KSFから具体的な数値でKPIに落とし込む

KSFを洗い出せたら、そこから具体的な数値でKPIに落とし込んでいきます。
KPIを設定する際は曖昧な目標ではなく、現実的に達成できる数値を設定することが大切です。
例えば「ブランドコンテンツのエンゲージメント率を5%以上にする」「SNSの月間リーチ数を10万回以上にする」などです。
SMARTの法則(具体的かつ達成可能な目標に落とし込み、実行力を高めるフレームワーク)を活用しつつ、KPIを設定していきましょう。

ブランド戦略のKPI設定で失敗しないためのコツ

ブランド戦略のKPI設定で失敗しないためには、以下のポイントを押さえることが大切です。

KPIの数を絞り込む

KPIは細分化することで、大量に設定することが可能です。
ただし、KPIを大量に設定しすぎてしまうと、KPI管理のコストが増えすぎたり、結果の測定やレビューの負担が増えて中途半端になったりするなどのリスクがあります。
そのため、KPIを大量に設定できたとしても、優先度の高いものを残して5~7個程度に絞り込んだ方が良いでしょう。

短期目標・長期目標をバランスよく取り入れる

ブランド戦略は長期的な運用が必要となりますが、短期的な目標を設定していないと社員のモチベーションを維持しづらくなります。
このことから、月次で結果を追える短期目標と、四半期や年次などで結果を追う長期目標の両方を設定するのがおすすめです。

定期的な見直し・改善を行う

KPIは一度設定したらそれで終わりではなく、定期的な見直しと改善を図ることが大切です。
例えばKPIを計測した際に、予想していた数値から大きく外れてしまう場合もあります。
これは自社にとって最適な設定ができていないと考えられるため、見直しと改善が必要です。
また、ブランド戦略を進めていく中でKPIが当初の役割を果たせなくなる場合もあるでしょう。
この場合、現状に合わせて新たにKPIを設定しても問題ありません。

 

多種多様な商品・サービスがある中で、他社と差別化を図るためにブランド戦略は必須です。
しかし、ブランド戦略で施策を講じても成果がわかりづらいことから、KPIを設定することが重要となってきます。
今回紹介した設定方法やポイントを押さえつつ、自社ブランドに適したKPIを設定しましょう。