毎年、SNSによる炎上騒動が数多く起きています。

2023年にも様々な騒動が巻き起こりました。

しかし、炎上後の事後対応が悪いと、その後の経営に問題が出てくる可能性があります。

炎上騒動においては事後対応が重要となるので、企業は対処方法を検討しなければいけません。

そこで今回は、2023年に巻き起こった炎上騒動とその後の対応について解説すると共に、万が一炎上騒動に巻き込まれた際にとる企業の対処方法を解説していきます。

炎上を減らす対策についてもご紹介していくので参考にしてください。

 

2023年には何が起こった?企業の炎上騒動とその後

2023年にも数々の騒動がSNS上で巻き起こりました。

その一例をご紹介していきましょう。

 

スープストックトーキョー

きっかけは、スープストックトーキョーがXに投稿した「離乳食の無料提供」の発表です。

スープストックトーキョー全店で離乳食やキッズセットの提供を始めることを投稿したところ、「狭い店内にベビーカーはどうなのか」「落ち着いて過ごせなくなる」といった声が挙がり炎上しました。

その後、スープストックトーキョーは約1週間後に公式サイトで声明を発表しています。

・企業理念に基づいて「食のバリアフリーの取り組みを推進している」

・これまで実施してきた「グルテンフリーやベジタリアン対応スープの販売」と同様に離乳食もそと取り組みであることを説明

・様々な顧客に向けてサービスを提供したい想いがある

といった点を伝えたのです。

離乳食の提供は決して悪いことではありません。

そのため、安易に謝罪をせずに漠然とした態度で企業理念や信念を伝えたことに評価する声が挙がりました。

炎上騒動もすぐに収束する結果となったのです。

 

ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ

世界で数多くのホテルを展開するヒルトン・ホテルズ&リゾーツでも炎上騒動が起こっています。

きっかけは、YouTubeに公開したPR動画です。

内容としては、薄暗い旅館で女将がチェックインをしている旅行客に対して早口でルール説明をし、矢継ぎ早に夕食の時間や朝食、チェックアウトなどの説明をします。

そんな中、「せっかくの休みなのに全くゆっくりできない時…」とナレーションが挿入され、ヒルトン系列のホテルに映像が切り替わります。

夜景を見つめる旅行客に対し、ホテルマンは「ゆっくりされるならディナーの時間をずらしますよ」と優しく話しかけ、「泊まるところで、旅は変わる」とナレーションが挿入し動画は終了します。

この動画を視聴したユーザーにより、「日本の文化を軽視している」「下品」「旅館でこんなコワイ言い方をされたことない」などとSNS上に批判の声が相次ぎました。

多くの批判を受け、動画は非公開になっています。

また、ヒルトンの広報担当者は、「動画を観たみなさま、旅行業界のみなさまに不快な思いをさせてしまった」と謝罪し、「おとしめるような意図」は無かったとも伝えています。

 

丸亀製麺

讃岐うどんチェーンの丸亀製麺でも炎上騒動が起こりました。

騒動のきっかけは、丸亀製麺で発売された「丸亀シェイクうどん」にカエルが混入していたというXへの投稿です。

出張中に食べたシェイクうどんを食べたら、カップの底にカエルがいたという投稿で、当該のお店は3時間営業を停止した後に、その日の夜から営業を再開していると報告しています。

この投稿は瞬く間に広がり、実際の画像や動画に衝撃を受けた人も多かったようです。

そして次の日、丸亀製麺は「お詫びとお知らせ」というリリースを出し、原因を発表したのです。

原因は、野菜加工工場での混入で、今後生野菜を取り扱う取引先となる全工場に対して立入検査を実施して検品体制を強化すると報告しました。

また、3日間、生野菜を使用する一部の商品の販売も休止するといった公表もしています。

発売から約3日で約21万食も売れるヒット商品となったシェイクうどんでしたが、騒動によって販売できなくなり同時に行われていたキャンペーンも中止となりました。

大きな騒動となる炎上事件でしたが、丸亀製麺の素早い対応を称賛する声も大きく聞かれました。

 

企業が炎上騒動を鎮火させるポイントとは?

2023年にも様々な炎上騒動が巻き起こっています。

企業が関連するものの場合、対処を怠ってしまうと企業に対するイメージや商品に対するイメージが悪くなり、売上にも影響を与える可能性があります。

問題を大きくさせないためにも、炎上騒動を収めるポイントを解説していきましょう。

 

炎上は早期発見がカギ

SNSでの炎上を大きくしないためにも、炎上の火種となるSNSへの投稿をチェックすることが肝心です。

そのためにも、まずは炎上がどういった流れで巻き起こっていくのか解説します。

  • 投稿が行われる
  • 一部のユーザーが反応にて批判が巻き起こる
  • インフルエンサーによって拡散される
  • まとめサイトやネットニュースに掲載される
  • マスメディアによって世間一般に認知される

以上の流れによって騒動が大きくなっていきます。

炎上をすぐに鎮火させるためには、できるだけ早い段階で炎上を発見することが大切です。

そして、投稿内容が事実であるのかを確認します。

早期発見をするためにも、日ごろからモニタリングを実施する企業も存在します。

担当者が会社名や商品名、サービス名などを検索して炎上に発展するような投稿がないか確認する他、キーワードを登録してアラートが来るように設定しておく方法があります。

また、これらの作業を外注することも可能です。

 

炎上は早期対応がカギ

炎上につながりそうなSNSを発見した場合、企業は対処法を早急に考える必要があります。

ただし、謝罪や声明を急げば良いという話ではありません。

批判が多く集まったことで「慌てて投稿を削除した」「ただ謝罪文を掲載する」といった対処法では一部ユーザーは納得せず、反対にさらに炎上してしまう可能性もあります。

特に元の投稿を説明しないまますぐに削除してしまう行為は「逃げ」と判断されて不信感や失望といった感情を生み出します。

マイナスのイメージは簡単には元に戻らないので、早期対応を行うためにも炎上マニュアルを事前に作成して、それに沿って対応策を考えていきましょう。

 

謝罪や信頼の回復を図る

SNSに投稿された内容に対する考えやスタンスがまとまれば、SNSやプレリリースといった方法で声明を発表します。

対応方法は、企業に非がある・企業に非がない・事実確認が困難な場合の3種類のケースによって違いがあります。

 

・企業や企業の関係者に非がある場合

SNSの投稿内容を見て、明らかに企業側に落ち度がある場合は、限定謝罪を迅速に実施し、その後関係各位への謝罪や経緯、原因の説明、再発防止策を公表していきます。

限定謝罪とは、何に対しての謝罪なのかを明確にした謝り方を指します。

 

・企業や企業の関係者に非がない場合

炎上した騒動に対し、企業側には全く落ち度がないケースもあります。

誤解や憶測、噂などがあるでしょう。

また、フェイクニュースによる炎上も考えられます。

この場合は、世間を騒がせたことに対して限定謝罪を行いましょう。

しかし、その際には必ず自社に非がないことを説明してください。

前述したスープストックトーキョーのように自社の理念や信念をしっかりと伝えることで想いが伝わるケースもあります。

 

・事実確認が困難な場合

現時点では、事実確認が難しい内容もあるはずです。

その場合、事実確認に時間を費やしていると、その間に炎上が拡大してさらに大きな問題へと発展するケースもあります。

「対応が遅い」「説明責任がある」などと批判の声が出る可能性もあります。

一時対応としては、限定謝罪と同時に原因を調査中であることを伝えます。

その後、しっかりと調査を実施して、原因が自社にある場合は再度謝罪を行い、原因の説明や再発防止策の公表などを行ってください。

自社に非がない場合は、事実を開示して事態の収拾に努めてください。

炎上騒動が起きると、企業に対してユーザーは「誠実な対応」を望みます。

なぜ問題となるような行動や発信をしてしまったのか、その経緯や意図を知りたいと考えるユーザーは多いです。

責任の所在を明らかにし、自社に非があれば誠意を持って謝罪をしましょう。

そして再発防止のための対策を説明してください。

 

SNS炎上騒動を起こさないための予防策はある?

SNSでの炎上騒動は瞬く間に広がり、大きな問題へと発展してしまいます。

被害を最小限にするため、リスクを減らすためにも炎上に対する予防策をご紹介していきましょう。

炎上によってマイナスなイメージを与えないためにも、以下の方法を取り入れてみてください。

 

研修を実施する

SNSに関する社員研修は有効な方法です。

プライベートアカウントでも投稿内容に問題があれば、勤め先や住所が特定されて炎上するケースも珍しくありません。

家族にまで迷惑をかけてしまう危険性があるので、従業員全員の意識を高めるためにも研修を実施しましょう。

炎上事例を交えた研修を行えば、自分の行動でどんなリスクを引き起こす可能性があるのかを理解できます。

 

体制を整える

炎上被害を受けないためにも、SNSに関するチームを作るのもおすすめです。

例えば、SNSの運用担当者が1人しかいなかった場合、チェックされることなく投稿できてしまうために不適切な内容をアップした場合は瞬く間に炎上を招いてしまいます。

しかし、チーム体制で取り組めばチェックする要因も盛り込めるので、不適切な内容を投稿せずに済みます。

チームを編成する際には、性別や年齢、価値観などが全く異なる人員で構成すると、様々な意見が聞けるので炎上のリスクを軽減できます。

またSNSに関するチームがいれば、モニタリングが可能となるので炎上の火種となる投稿にも早期に気付くことが可能です。

チームの構成が難しい場合には、ツールを活用するほか、外部サービスに監視を依頼することもできます。

費用は発生しますが、炎上騒動によってリスクを軽減できるのでメリットは大きいはずです。

 

危機対応のためのマニュアルを作成する

炎上騒動の火種を発見した際、早急な対応をするためにもマニュアルの作成は大切です。

火種を放置してしまえば拡散し、炎上のリスクを上げてしまいます。

しかし、マニュアルがあれば火種の真意によって異なる対応方法にもすぐに対処できるので被害を最小限に抑えることに役立ちます。

 

利用規約を作成する

炎上を回避するためにも利用規約を作成しましょう。

利用規約は、提供するサービスの利用に関するルールを記載したものを指します。

誹謗中傷や人権侵害、誹謗中傷など、根拠なき批判など、利用規約にコメントの削除について盛り込めば、企業側で削除することが可能です。

削除する際には「利用規約に則り〇〇に該当するコメントは削除させていただきます」と削除する根拠を提示する際にも役立つ対応です。

 

まとめ

SNSで炎上騒動が巻き起これば企業は大きなダメージを負ってしまいます。

対処法で間違ってしまえば、自社に対するイメージが悪くなり、集客や売上に悪影響を与える危険性もあります。

リスクを最大限減らすためにも、炎上を鎮火させるポイントを理解しておきましょう。

炎上には「迅速な行動」が大切ですが、問題となった原因の把握や再発防止策を検討せずに投稿を削除したり、単に謝罪のみを行ったりする行為は危険です。

さらなる炎上を招く恐れがあるので、必ず騒動となった原因を探り、自社に非があるのか調査してください。

そして、落ち度がある場合には限定謝罪を行い、問題の経緯や原因、再発防止策の公表へと移っていきましょう。

また、炎上を起こさないためにも予防策を施すことも肝心です。

研修の実施や体制を整えて炎上によるリスクを回避していきましょう。