現代のビジネス環境はどの市場においても競争が激化しています。

そんな中でユーザーから選ばれる企業になるためには、企業自体の価値を高めていくことも重要です。

企業の価値を高めるためには、単にロゴやデザインを変更したり、統一させたりするだけでなく、企業の理念や姿勢が社内外に浸透し、信頼度を高めるための取り組みが必要です。

今回は、コーポレートブランディングの目的と手順、ブランド力を向上させるためのポイントについて解説します。

 

コーポレートブランディングを実施する目的

コーポレートブランディングに取り組む前に、実施する目的について把握しておく必要があります。

具体的にどのような目的があるのか、解説していきましょう。

 

市場での競争力を強化させる

企業自体のブランディングを行う目的として、市場での競争力を強化させる点が挙げられます。

ブランディングに成功すると、消費者や取引先などから企業に対する認知度と信頼度が高まります。

企業に対して信頼度を感じられるようになれば、取り扱う商品やサービスに対する安心感も高まり、競合他社の商品と比べた際にも選ばれやすくなる傾向にあります。

市場での競争力が強化されて価格以外の魅力も見つかれば、価格競争から脱却を図ることも可能です。

また、企業がブランディングを行うことで顧客のファン化も促進され、LTV(顧客生涯価値)も向上しやすくなります。

 

離職率の低下や優秀な人材を採用しやすくする

企業としてのブランドが確立され、そのブランドが市場の中でも高い位置にいたり、認知度が全国区に広まったりすれば、従業員は「ブランド力の高い企業で働いている」と認識し、仕事に誇りとやりがいを持てるようになります。

すると従業員のモチベーションが高まり、仕事に対する意識が向上することから離職率の低下につながる場合も少なくありません。

また、ブランド力の高い企業は優秀な人材が集まりやすい傾向にあります。

現在は人手不足に悩む企業も多いことから、離職率の低下や優秀な人材を採用しやすくするためにも、企業のブランディングを行います。

 

資金調達を有利に進められる

企業のブランド力が強化されると、資金調達を有利に進められるようになります。

例えば新商品を開発する際にかかる費用を金融機関からの融資で賄おうとした場合、あまりブランド力がない企業だと信用度も低いため、融資審査も慎重に行われるでしょう。

しかし、ある程度ブランド力や認知度の高い企業であれば、将来的な安定も期待できることから、融資審査も通りやすくなる可能性があります。

 

社内の意識改革にもつながる

ブランディングを行う目的として、社内に向けたブランディングも含まれています。

企業のビジョンやミッション、バリューなどを全従業員で共有・理解することでエンゲージメントが高まり、仕事への意欲につながります。

また、業務を行う中で何かしらの問題が発生した際に、ビジョン・ミッション・バリューが共有されていれば、企業として判断がしやすくなります。

 

 

コーポレートブランディングを行う手順

コーポレートブランディングに取り組もうと考えた際に、具体的にどのような手順で行えばいいか迷ってしまう方もいるはずです。

ここで、ブランディングを実際に行う手順について解説します。

 

現状の把握

まずは現状を把握するところからスタートします。

企業の認知度やブランド力に関する調査を実施し、今のブランド力を測っていきます。

また、従業員の企業に対する意識調査や、企業の外部環境を調べておくことで、客観的に企業の現状を見ることが可能です。

具体的な方法としては、例えば顧客に向けてブランドに関する意識調査を実施する場合、ブランドの認知度はどれくらい高いのか、ブランド名を聞いて何を思い浮かべるのかを調査します。

社会全体や競合他社と自社の関連性を調べたい場合には、3C分析やSWOT分析、PEST分析などのフレームワークを活用してみましょう。

 

ブランドの定義を明確にする

次にブランドの定義を明確にしていきます。

ブランドの定義とは、コンセプトやビジョン、社会的役割、独自の価値や世界観などです。

この定義が明確に定まっていないと、戦略や事業にブレが生じてしまい、企業としての魅力が薄れてしまう可能性もあるので注意が必要です。

ブランドの定義を決める際には、お客様や取引先などに共感してもらえるものであることはもちろん、従業員も支持できるものになっているか確認する必要があります。

 

計画を立案し、実行に移す

ブランドの定義に基づいてブランド戦略を立案していきます。

戦略ではターゲット層を定めて、自社というブランドをいかに効果的にアピールするかを考えます。

計画が立案できたら、実際に施策を実行してみましょう。

 

検証・分析を行う

ブランディング戦略を進めていく中で、重要となってくるのが効果の検証と分析です。

施策が失敗に終わったとしても、成功した場合でも、効果がどれくらいあったのかを検証し、その結果に基づいて分析を行っていきます。

例えば施策が失敗してブランド力の強化につながらなかった場合でも、分析した結果をもとに施策を改善させていきます。

これを繰り返していけば、徐々に施策の精度も高まり、効果が出やすくなるはずです。

また、社会情勢や市場環境は常に変化を続けていることから、柔軟に施策を対応させていくためにも、PDCAサイクルを回して運用を継続させましょう。

 

 

ブランド力を向上させるためのポイント

企業がブランド力を向上させるためには、以下のポイントを押さえることも大切です。

 

中長期的に取り組んでブランドイメージを定着させる

ブランディングは施策を実行してから数日で効果が表れるようなものではありません。

多くの人のイメージを変えていく必要があることから、中長期的に取り組む必要があります。

また、企業ブランドはあらゆる調査や分析、ディスカッションを行った上で確立させることになります。

社内外に向けて発信するまでに策定しなくてはならないことも多く、さらにブランドイメージが浸透して定着するまでは時間がかかってしまうものです。

そのため、コーポレートブランディングに取り組む際には中長期的になることを理解した上で、根気強く取り組んでいくことが重要となります。

 

部門同士の足並みを揃える

コーポレートブランディングを成功させるためには、社内の各部門で足並みを揃えることも重要です。

足並みが揃っていないと企業に対するイメージが各部門で異なってしまうため、効果的なブランディングが行えません。

部門同士の足並みが揃っていない場合には、部門に関係なく全従業員に対してワークショップを実施し、すべての社員がブランドに対する共通認識を持てるようにしましょう。

 

 

今回は、コーポレートブランディングを行う目的と手順、成功させるためのポイントを解説してきました。

コーポレートブランディングというと大手企業が行っているイメージを持つ人もいますが、会社のイメージやビジネスの価値を高める活動として、中小企業でも取り入れるメリットは大きいです。

ブランドを定着させるためには中長期的な取り組みが必要となってくるものの、成功すれば競争優位に立てるようになり、人材の確保もしやすくなるので、成長企業に発展させたい場合はコーポレートブランディングもぜひ取り入れてみてください。